【DOCSIS】ケーブルモデムのリンクアップ手順を簡単に説明します!

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ケーブルモデムはどのようにして接続するのでしょうか?

はい。では今回はDOCSISケーブルモデムのリンクアップ手順の流れを、簡単にご説明してみようと思います。

電源投入(POWER ON)

最初に、CMの電源を投入します。
ほとんどのCMは「電源スイッチ」はなくて、「電源アダプタ」あるいは「電源ケーブル」をコンセントに差したら、すぐに電源投入されて、リンクアップ手順を開始します。

一般的な機種は、電源起動中に自己診断をした後に、ハードウェアが正常であれば、次のステップへ進みます。

ステップ① 下り信号のスキャン(Scanning)

ここからが具体的な接続手順です。
まず初めにDOCSISの下り信号を見つけるために、スキャンを開始します。

CMは過去の下りチャンネルをいくつか記憶していますので、まず最初にスキャンします。もし記憶していた過去のチャンネルをスキャンしても発見できなかった場合は、他のチャンネルに下り信号がいないかを探し続けます。

ケーブルテレビの下り信号は、地上デジタルのOFDMやBSデジタルの64QAMなど色々ありますが、CMは下りのDOCSIS信号を見つけるために、順番にチャンネルを変えていきながらスキャンを続けていきます。

このとき下りをスキャンしていくチャンネルの順番を、「周波数テーブル」と呼んだりします。「周波数テーブル」はCMに予めセットされているテーブルで、いろいろなパターンがあって、CM機種やベンダーによっても異なります。多くの場合は日本向けにカスタマイズされていて、日本固有のチャンネルをスキャンするようにしたり、あるいは信号を捜索していくチャンネルの順番を工夫されています。

次に、下りのDOCSIS信号を発見できたら、そのチャンネルと同期してデータを受信できる状態にします。

同期した下り信号の中には、上り信号の情報を知らせるデータが含まれています。
この上り運用情報を読み込みますと、CMが出力するための上り周波数や変調方式等の情報を知ることが出来ました。

ステップ② 上り信号の調整(Initial Ranging)

続いて、CMからCMTSへ上り信号を送信して、CMはうまくCMTSに信号が到達するように出力レベルを調整しながら送信します。

なお、CMTSへCMからの上り信号を調整中の状態を「Ranging」と言い、完了した状態を「Ranging Complete」と言います。

ステップ③  IPアドレスの取得(DHCP)

レンジングが完了しますと、次にCMはIPアドレスをDHCP要求して、CMTSの上位に設置されたDHCPサーバからアドレス割当されます。

DHCPサーバから渡されるパラメータは、IPアドレス以外に以降の手順の為に必要なコンフィグレーションファイルの名前やTFTPサーバのアドレス等があって、次のようなパラメータを最低限必要です。

  • サブネットマスク(Subnet Mask)
  • ルータアドレス(Router)
  • タイムオフセット(Time Offset)
  • ToDサーバアドレス(Time Server)
  • SYSLOGサーバアドレス(Log Server)
  • TFTPサーバアドレス
  • CMコンフィグファイル名

ここで割当されたIPアドレスは、CMに付与されたアドレスであって、CMに接続するユーザが利用するアドレスではないです。

ステップ④  時刻同期(ToD)

UDP 37番ポートのTime Protocolを利用して、ToDサーバとCMの時刻同期をします。

ステップ⑤ コンフィグレーションファイルの取得(TFTP)

先程のDHCP手順で与えられた名前のファイルを、UDP 69番ポートのTFTP要求してダウンロードします。

TFTPでダウンロード成功すると、ダウンロードしたコンフィグレーションファイルに従って、速度や最大接続数等の設定をします。

ステップ⑥  レジストレーション(Registration)

CMがトラフィックを転送するために、CMTSに登録します。

ステップ⑦  ベースラインプライバシー(BPI)

CMTSにおいてBPIを運用していない場合は、この手順はスキップします。
「ベースラインプライバシー」はセキュリティ機能ですが、ここでは詳細な説明は省きます。

通常動作(Operational)

以上のリンクアップ手順を終えたCMに、端末をつないだユーザはデータを送受信できる状態になります。