1997年 DOCSIS規格が「DOCSIS1.0」として誕生してから、1.0から1.1→2.0→3.0、そして現在の3.1という経過をたどっています。20数年という長い年月が経過しましたが、まだ規格は続います。
今回は、各DOCSISバージョンの違いについて、ご説明します。
DOCSIS1.0 初登場
米国のCableLabsにより、最初の「DOCSIS1.0」を策定しました。
DOCSIS登場する前は、ベンダー毎に独自方式だったケーブルモデムシステムが、仕様が決まったことで、センター装置CMTSと端末装置CMの相互接続性が実現できました。
・ベストエフォート型通信(Best Effort)
・BPI(ベースラインプライバシー)
DOCSIS1.1 QoS
D1.0が登場してから、すぐにQoS(Quality of Service)を追加したDOCSIS1.1が、1999年に公開されました。この時期は、インターネット上で音声トラフィックを扱うVoIP技術が登場してきましたので、音声が途切れないようにするためにQoS機能を使って、データと音声の統合を目指しました。
また、D1.1はD1.0に対して、後方互換性がありましたので、D1.0 CMはD1.1 CMTSに対しての接続性は確保されました。
・帯域保証型のQoS
・BPI+(ベースラインプライバシープラス)
DOCSIS2.0 上り高速化
次のバージョンDOCSIS2.0は、2001年に公開されました。
この時期は、Napstorや日本国内だとWinny等のファイル共有、いわゆるP2Pの全盛期です。よって、ファイル交換のために上り速度が早いことが非常に望まれた時期です。さらに、一気に普及した電話線を利用したADSLサービスは、幸いに上り速度が遅かったこともあって、DOCSIS優位性のひとつでした。
上りアクセス制御方式に、S-CDMA(Synchronous-Code Division Multiple Access)が追加されました。
上り帯域幅は、これまでの200/400/800/1600/3200kHzに加えて、6400kHz(=6.4MHz)も追加され、上り変調方式は、TDMAの場合に、QPSK/16QAMに加えて、8QAMと32QAM/64QAMが追加しました。
・上りアクセス制御方式S-CDMAの追加
・上り帯域幅、変調方式の追加
DOCSIS3.0 チャンネルボンディング
2006年にDOCSIS3.0が仕様公開されました。
下り・上りのさらなる速度向上のために、新しい技術「チャンネルボンディング」(Channel Bonding)を採用して高速化を図りました。
チャネルボンディングとは、複数のチャンネルを束ねて高速化することを言います。例としてあげますと、下り1ch当たり約40Mbps(256QAM)を8chボンディングすると、40Mbps/ch×8ch=320Mbpsとなります。上りも同様に、1ch当たり約30Mbps(64QAM/6.4MHz)を4chでは、30Mbps/ch×4ch=120Mbpsです。
・IPv6サポート
DOCSIS3.1 新たなPHY
DOCSIS3.1は、現在のDOCSISにおいて最新の仕様です。
FTTH方式に対抗するために、効率よく高速化するために、D3.1ではOFDM、LDPC等の様々な技術を採用して、大幅に仕様を変更しました。
2013年仕様公開され、CMTS/CM製品リリースもされて、導入が進んでいる状況です。
DOCSIS3.1については、別のパートでご説明します。