FTTH型ケーブルテレビのシステムとは

eyecatch-ftth-catv-system-summaryFTTH

いま新たにケーブルテレビ施設を構築しようとする場合には、通信サービスの高速化・放送サービスの広帯域化のために多くがFTTH型を選択します。
今回は、そのFTTH型のケーブルシステムについてご説明します。

FTTHの放送系は片方向、通信系はPONシステム

FTTH型はFiber To The Homeという名前が表しているように、センター設備から加入者端末までの伝送区間を光ファイバーで構成する方式です。

放送系は、HFC型のように下り・上りの「双方向」ではありませんで、FTTH型は「片方向」のセンターから端末への下り信号のみです。下りのみで、上り信号を端末からセンターへ送ることができませんから、FTTH設備ではDOCSISシステムを使うことはできません。

通信系は、G-PON/GE-PONのようなPONシステムで、非常に高速なサービスを提供します。
10ギガビットのPONシステムも登場していますので、ユーザはインターネットの速さをもとめて「光!FTTH!」という傾向です。

主流はPDS方式

FTTH施設の光ファイバーのネットワーク構成は、よく言われるのは3つの方式があります。
センター設備から加入者端末までの光ファイバーの構成によって分類されていて、SS方式・PDS方式・ADS方式です。

SS方式センター装置と端末装置を1対1で接続。局舎からスター構成。
PDS方式途中の光分岐器(カプラ)で分配。さらにスター構成。
ADS方式構成はPDS方式。電気を使うアクティブ機器を途中に配置して分配。

SS方式(シングル・スター方式)は、センターから端末を1対1でつなぎますから、伝送路の光芯数が多くなります。かつてFTTHが普及する前に100Mbpsメディアコンバータの施設を見たことはありますが、センターから端末までの伝送路のファイバー芯数がとても多くなります。センター設備のスイッチもメディアコンバータ台数分必要だったので、かなり大掛かりな構成であったことを記憶しています

PDS方式(パッシブ・ダブル・スター方式)は、センターから端末までの区間は電気を必要としないパッシブ構成(Passive)が特徴です。センターから途中に設置された光分岐器(カプラ)までを一定のユーザで共有しますので、光ファイバーを経済的に使えますから、FTTH型の主流です。
分岐数は、一般的に32~128分岐です。分岐の仕方は、伝送路のカプラで分岐させるだけでなく、センター設備で2分岐や4分岐をするケースもあります。伝送路で分岐しても、分岐数に見合う住宅がない場合は勿体ないので、センターカプラを合わせて使います。
センターカプラや伝送路のカプラを組み合わせしてFTTHシステムを設計している時は、妙にパズルをやっているような気分に私はなります。

ADS方式(アクティブ・ダブル・スター方式)は、ケーブルテレビ業界におけるADS方式というのは、途中にアクティブ機器を配置する方式で、通常のPDS方式に比べてセンターからアクティブ機器までを長距離にすることができます。
PDS方式では端末まで信号が届かない場所にADS方式を利用します。サブセンターを置く場所がないケースや村のような過疎地帯のようなケースですね。